御親修による宗祖御遠忌法要 門首挨拶文
 本日、ここに、天融寺宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要がお勤まりになり、そのご縁に遇わせていただきましたこと、誠に有難く存じます。
 先の真宗本廟における宗祖御遠忌法要は、全国から御参集頂いた数多の御同朋とともに、今現在説法したまう宗祖の御真影の御前において正信偈を唱和し、宗祖としての親鸞聖人に遇う大切な仏縁となりました。
 殊に、御遠忌テーマ「今、いのちがあなたを生きている」を標榜し展開する中で、東日本大震災に遭遇し、尊いいのちが失われた現実に、あらためて『大無量寿経』の「無有代者」のみ教えを思い返さずにはおれませんでした。
 宗祖親鸞聖人が歩まれた道は、一切衆生が救われる本願念仏の大道であり、煩悩成就の身であるわれらがそのままで救われる「生死出ずべきみち」であります。そして宗祖は三国七祖のお導きによって『顕浄土真実教行証文類』をご製作になられ、永く私たちの真に生き抜く道を顕かにされました。
 ここに大乗仏教の至極たる浄土の真宗が開かれ、時代と国を超えて全ての人々の苦悩と悲しみにこたえる大きな意義をもって、現代にはたらき続けています。
 この上には、本日の御遠忌法要を勝縁として、いよいよ自信教人信の誠を尽くし、あらゆる人々とともに同朋社会の顕現に努めていただきますよう念じ、ご挨拶といたします。
2012年11月3日
真宗大谷派門首 大 谷 暢 顯